2024年7月中旬、筆者の住む東海エリアでもとうとうセミが鳴き始めました!ただでさえ暑い夏をさらに暑く感じさせる大きな声で鳴くセミ。
そんな厄介者で夏の風物詩とも言えるセミではありますが、幼虫から成虫へ羽化の様子がとても神秘的で感動するんです!
と言うことで、クマゼミの幼虫を家のカーテンにつけて羽化する様子を観察してみました。
子供の頃にセミの羽化の様子を見たことがあるというパパさんママさんも多いと思います。温暖化により昔と比べると気温も高く、熱中症への警戒も強くなる一方で日中の虫取りは危険を伴います。
しかし、セミの幼虫は夜に行われるので暑さも幾分和らぐためトライしやすいですよ。ぜひ、お子さんと一緒にセミの幼虫の羽化を観察してみてはいかがでしょうか。
- 2人の男の子と1人の妻を持つパパ
- セミの幼虫の羽化を3年連続で成功率100%(8回中8回成功)
- 休日は必ず家族で公園をメインにお出かけしています
- 夏はクワガタ採集、セミとりなど昆虫採集をしながら東海エリアを中心にあちこち行きます
今夏、ぜひ皆様にもセミの幼虫の羽化を観察してこの感動を味わっていただきたいという想い。また、やるからには絶対に成功させてあげたいという想いからこの記事を書かせていただきました。
先にセミの幼虫の羽化を失敗させない4つ方法の結論をご覧ください。
1.セミの幼虫を安全に配慮して家に持ち帰る
2.部屋の環境を整える
3.カーテンにつけたら原則、触らない
4.場合によっては羽化の途中で手助けするのもあり
これらの4つの方法を行っている筆者は、セミの幼虫の羽化に失敗しておりません。全て成功しております。
記事の後半には、セミの幼虫の羽化を失敗させない方法を詳しく紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧いただけたらと思います。
セミの実態
まずはセミについて調べてみましたので、興味がある方はこちらもご覧ください。
ここから記事内の羽化の様子へ飛ぶこともできます。
セミ(蝉)は、昆虫綱半翅目(はんしもく)に属する昆虫です。セミはその特徴的な鳴き声と短い成虫期間で知られています。しかし、近年の調査によるとセミは成虫になってから長い個体で30日以上もの間生存できていることが確認されているのです。
セミの生態や特性について詳しく見てみましょう。
関連記事:セミの種類や捕まえ方について→
1. 外見と形態
セミは大型の昆虫で、透明な翅(はね)を持ち、成虫になると体長は数センチから十数センチに達します。翅には網目状の模様があり、飛行する際に使われます。
昆虫ですので、脚の本数は6本、翅は4枚(大きいのが2枚、その下に小さいのが2枚)ついています。
また、あまり知られていないようですが実はセミには目が5つあります。
小さい目が無数に集まってできた、物を見るための複眼が2つ。これは顔の横のついているぱっと見わかりやすい大きい方の目です。
それと、よく見るとおでこに光を見るための単眼と呼ばれる目が3つ。近づいてよーく見ないとわかりませんので、今度セミを捕まえた時に見てみましょう。
2. ライフサイクル
セミのライフサイクルは非常に特徴的です。以下のような段階を経ます。
- 卵: メスは木の枝や土壌に卵を産み付けます。
- 幼虫(ニンフ): 卵から孵化した幼虫は土中に入り、数年から十数年をかけて地下で生活し、樹液を吸って成長します。例えば、ミンミンゼミ(日本でよく見られる種)は、幼虫期が6~7年と言われています。長いものでは10年とも言われています。また、セミの幼虫は蛹になりません。これは「不完全変態」と言われる成長の仕方となります。幼虫から羽化して成虫になります。
- 成虫: 幼虫は成長を終えると地上に出て、脱皮して成虫になります。成虫の寿命は数週間から数週間と非常に短く、その間にオスは大きな鳴き声でメスにアプローチをして繁殖活動を行います。
3. 鳴き声
そもそもセミが鳴くのは腹弁があるオスだけです。オスのセミは特有の鳴き声を持ち、メスを引き寄せるために鳴きます。この鳴き声は、腹部にある「鳴き筋」という筋肉を収縮させることで発生します。種ごとに異なる鳴き声を持ち、それによって種を識別することができます。
オスメスの見分け方
セミのオスメスを見分ける方法です。
- 鳴いていればオス
- ひっくり返して腹弁があればオス
確実にオスメスを見分ける方法はこの2つしかありません。
まず、鳴いていればオスです。これが一番早くオスだと判断できます。
もう一つは腹弁の有無です。腹弁があればオスです。
クマゼミのオスとメスを比較してみました。このように同じ種類のセミでオスメスを見比べると一目瞭然でわかりやすいですね。右側のオレンジ色の大きな腹弁がついている方がクマゼミのオスです。
4. 分布と種類
セミは世界中に分布していますが、特に熱帯や温帯地域に多く生息します。日本では、アブラゼミ、クマゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ニイニイゼミ、ヒグラシなど、様々な種類のセミが見られます。各種は生息環境や鳴き声、出現時期などが異なります。
5. 生態系への影響
セミは生態系において重要な役割を果たしています。幼虫期には土壌を掘り進むことで土壌の通気性を改善し、成虫は鳥類や他の捕食者にとっての重要な食料源となっています。
6. 文化とセミ
セミは日本をはじめとする多くの文化において、夏の象徴として親しまれています。俳句や短歌、絵画などでセミが登場することも多く、その鳴き声や姿は季節感を強く表現するものとされています。
セミの生態や特徴は非常に興味深く、彼らの短い成虫期間と長い幼虫期間は自然界の不思議の一つと言えます。
羽化の様子
自然界での成功率が約60%と言われているセミの幼虫の羽化です。敵に襲われたり、体力が尽きたり、落下したり。何が何でも成功させてあげたいです。
それでは、セミの幼虫の羽化を家のカーテンで観察した様子をご覧ください。
セミの幼虫探し
まずはセミの幼虫がいないと話になりません。
と言うことで、ライトと虫かごを持って近所の公園に探しに行きます。
昼に鳴き声がしている公園であれば、夜に幼虫が見つけられると考えてOKです。
(セミが鳴きだした日から1週間後ぐらいが多いように感じます)
ライトのおかげもあり、ものの5分程度で発見しました!
運が良かったです(笑)
はい、GETです♪
では、お家に帰りましょー!!!
…間違えた。アジトに帰りましょう。
(おろちんゆーさんのネタです)
おろちんゆーさんのYouTubeは昆虫採集もよくしていてキャラも面白くておすすめです♪
部屋のカーテンにくっつける
20:51 (観察開始)
部屋のカーテンにくっつけました♪
この時、セミの幼虫をなるべく低い位置につけてください。羽化を始めるまでによく登ります。もし高いところまで登ってしっまたら羽化を観察しにくくなってしまうので、羽化の前兆動作が始まる前に下の方につけなおしてあげましょう。
羽化の前兆動作が始まってから触ると、羽化の失敗に繋がります。
エアコンの効きすぎや、部屋の照明にも注意が必要です。
エアコンを切ることをおすすめします。照明も暗めにした方がいいですね。なるべく自然の環境に近づけてあげれば羽化の成功率は上がります。
羽化の前兆動作
20:54 (観察開始から3分経過)
羽化の前兆動作である前足かきかきが始まりました!
…が、ちょっと動きがイマイチ(笑)本当は前足をもっと高く上げて顔を洗うような動きでかきかきします。(昨年確認済)
ラッキーなことに、カーテンにつけて早い段階で羽化が始まりそうです。昨年はこの動作が始まるまで1時間ぐらいかかりました。
中には、穴から出てから5時間以上も羽化をしない個体もいるので本当にラッキーでした。
羽化の前兆動作が始まってからはセミの幼虫に触ってはいけません。羽化が失敗してしまう恐れがあります。
ここからは、ただひたすら見守るだけです。
背中が割れ始める
21:09 (観察開始から18分経過)
羽化の前兆動作が始まってから15分後、動きが止まり、やっと背中が割れ始めました!縦に細い亀裂が入っています。
やっと羽化が始まりました♪
あとは見守るだけです。
羽化が始まったら絶対に触ってはいけません。環境的にも物理的にもストレスを与えると羽化ができなくなり、そのまま…。なんてことなります。ダメ、絶対。
さらに背中が割れる
21:12(観察開始から21分経過)
羽化が始まってから3分が経った頃の様子です。
背中が割れていることがハッキリと確認できるところまできました!
3分経過してこの状態です。
じっくりと時間をかけて殻を破っていることがわかります。
もっこりし始める
21:15(観察開始から24分経過)
羽化が始まってから6分が経った頃の様子です。
殻から成虫が出てくる感じがひしひしと伝わってくる見た目になってきました!
一番応援したくなるタイミングです。
顔が出始める
21:17(観察開始から26分経過)
羽化が始まってから8分が経った頃の様子です。
とうとう顔が出てきました!
順調そうです♪
上半身が出る
21:29(観察開始から38分経過)
羽化が始まってから20分が経った頃の様子です。
顔がハッキリと出てきました!
産まれた!って感じがしますよね(^^)
翅(はね)も完全に出る
21:31(観察開始から40分経過)
羽化が始まってから22分が経った頃の様子です。
翅(はね)も完全に出てきました!
あとは下半身(?)だけですね♪
しかし油断は禁物です。
ここから試練が始まるのです。
セミバウアーが決まる
21:34(観察開始から43分経過)
羽化が始まってから25分が経った頃の様子です。
見事なセミバウアーが決まっています!
しかし、ここから上手く起き上がれないようで、暫く動かないのです…。嫌な予感がします。
セミバウアー極(きわみ)
21:45(観察開始から54分経過)
羽化が始まってから36分が経った頃の様子です。
セミバウアーから11分。
セミバウアー極(きわみ)となりました。
が、全く起き上がる素振りはしません。このまま落下してしまいそうです。
観察、撮影をしている筆者もひやひやしてきました。
手助けしてカーテンにつかまる
21:51(観察開始から60分経過)
羽化が始まってから42分が経った頃の様子です。
セミバウアーから17分。
流石にヤバいと思い、カーテンを近づけてあげるとすぐつかまりに来てくれました!
…良かった。力尽きているのかと思うほど動かなかったので、ホッと一安心です。
(動かない理由は後日明らかに)
翅(はね)が伸びる
22:01(観察開始から70分経過)
羽化が始まってから52分が経った頃の様子です。
翅(はね)も完全に伸きりました!
ここまで見届けることができれば羽化は成功と言っていいでしょう。
あとは時間をかけて体が固くなり、ゆっくりと色付いていきます。
やっと寝れます(笑)おやすみなさい。
翌朝
翌朝7:22(翅が伸びきってから9時間21分経過)
完全に羽化が成功しました!
クマゼミだとわかるほど色付きましたね。
外で見るクマゼミの成虫とまではいきませんが、体の形、色、翅ともに完全体に近づきました。
朝起きて子供と一緒に興奮しました。最後はまた外に逃がしてあげます。
元気でね!ありがとう!
羽化を失敗させない方法は?
2024年7月時点、筆者は自宅のカーテンでセミの羽化を8回観察しております。
その8回中、8回とも全て成功させています。
その方法がこちらです。
1.セミの幼虫を安全に配慮して家に持ち帰る
2.部屋の環境を整える
3.カーテンにつけたら原則、触らない
4.場合によっては羽化の途中で手助けするのもあり
たまたま元気で調子の良い個体と巡り合えていることも、無きにしも非ず(笑)
記事中の羽化の様子でも少し書かせていただきましたが、セミの羽化を失敗させない方法を詳しくご紹介します。
筆者はこれらの方法を行いセミの幼虫の羽化に失敗していません。全て成功させています。しかし、個体の状況にもよりますので、絶対に失敗しないというわけではありません。あくまでも成功率を上げる方法としてご覧いただければ幸いです。
セミの幼虫を安全に配慮して家に持ち帰る
そもそもセミの幼虫を見つけてお家に持って帰らないと始まりません。意外とここって盲点で、あまり気にしていないのではないでしょうか。
自宅から出発して帰宅するまでに、すでに気をつけておくべきポイント3つあります。
1.夕方6時から9時の間に行く
セミの幼虫は夕方から夜にかけて地面の巣穴から出てきて、羽化をするために安全な場所を探して歩き回ります。外を見た感覚ではしっかり暗くなるちょっと前と言ったところです。
2.虫かごは網目のあるものを使用する
ツルツルした透明の虫かごにそのまま入れるのはやめた方がいいです。
巣穴から出たセミの幼虫はこれから木に登り安定した足場を確保したい矢先です。どこもかしこもツルツルで不安定な虫かごにポツンと入れられては完全にストレスとなってしまうからです。セミの幼虫は、しっかりとした足場に体を固定させていないと羽化ができません。
万が一、ツルツルの虫かごしかない場合は、セミの幼虫がツルツルで滑らないように木の枝をたくさん入れておくといいでしょう。
虫かごは網目状の物を使用しましょう。
持ち帰るときも虫かごを揺らさないように十分気を付けてください。移動手段は徒歩や車が理想ですね。自転車はかなりのリスクがあります。
3.自宅から1番近い徒歩5分圏内の公園へ行く
それともう一つ。
セミの幼虫を遠い場所に採りに行くのはやめましょう。
車で10分も走らせれば、持って帰る車中で羽化が始まってしまうかもしれません。せっかくなので家でじっくり観察したいですよね。
自宅から1番近い徒歩5分圏内の公園がおすすめです。
セミの幼虫を探しに家の玄関を出たところから勝負は始まっています。必ず自宅から1番近い公園に探しに行きましょう。できることなら徒歩5分圏内が理想です。
また、セミの幼虫は存在していても見つけられないことも可能性としては十分にあります。見つけても高い位置にいて採れないことも。一番もったいないパターンです。ですので、ライトや網もお忘れなく。
↑夜のクワガタ採集にも行く筆者のようなガチ勢はこちらを使用しています。控えめに言って最高です。
↑このピンポイントハンターという虫取り網はセミ無双が可能になります。本当に買って良かった最高の一品です。普段届かなくて諦めていた高さや奥行きもなんのその。サクサク採れます。夏の虫取りが200倍楽しくなります。
部屋の環境を整える
セミの幼虫が羽化を始める条件として下記のことがあります。
- 気温30℃以上
- 湿度80%以上
- 晴れの日が続く
です(笑)
ということは部屋もなるべくこれに近い環境にしてあげなければなりません。正直キツイ…。
間を取って(?)筆者の成功事例である4つのポイントで環境を整える方法を紹介します。
- エアコンをつけておくなら28℃以上に設定
- セミの幼虫をお家に持ち帰ったらエアコンを切る
- 窓は網戸にする
- 部屋の照明は豆電球にする
筆者はこの4つのポイントを守った環境でセミの羽化の成功率100%を保持しています。
実際のところ、そこまでシビアにならなくても上記の環境にしておけばよっぽど大丈夫です。
また、余談ではありますが、地中の温度が 25℃になるとセミは羽化の準備を始めることも近年の研究から明らかになっています。地中の温度と羽化は密接な関係があるようです。自然ってすごいですよね。
カーテンにつけたら原則、触らない
一度カーテンにつけたら原則、触らないことが理想です。
とは言え、セミの幼虫はどんどんカーテンを登っていきます。万が一、観察しにくい高さまで登てしまったらカーテンからセミの幼虫を外して、もう一度低い位置につけてあげましょう。
このとき、羽化の前兆動作である前足かきかきが始まっていたらもう触らない方がいいです。
羽化の途中で手助けすることも時には必要?
今回の筆者のケースのように、セミバウアーから暫く起き上がれないということは少なくないと思います。もう少し待っていれば、自力で起き上がっていたかもしれませんが、ずっと動かないと心配になってしまいしまいますよね。
体を反らせて動かないのは脚が固くなるのを待っている状態です。これに15分~30分要します。もし、セミバウアーになってから30以上分経っても動かないようなら人の手でカーテンを添えて、手助けをしてあげてもいいでしょう。筆者が手助けをしたタイミングは体を反らせてから17分後だったので少し早かったですね。いやはや、心配性が出てしまいました。
すぐ近くのカーテンを摘まんで、幼虫の横まで持ってきてあげればすぐつかまりに来ます。この瞬間がまあまあ可愛かったです。意外と素早く、シュッと動きます。
まとめ
今夏、ぜひ皆様にもこの感動を味わっていただきたいという想い。また、やるからには絶対に成功させてあげたいという想いからこの記事を書かせていただきました。
- 生命の神秘に触れられる。
- セミの生涯に夏そのものが重なる。
- 何度も手軽に見れるものではない貴重な体験。
これらのことから、セミの幼虫の羽化を観察すると素敵な夏の思い出になります。筆者が子供の頃にセミの幼虫の羽化を観察した記憶は、大人になってもずっと残っています。とても感動した大切な思い出です。
セミの幼虫の羽化失敗させない方法を下記にまとめました。
1.セミの幼虫を安全に配慮して家に持ち帰る
- 夕方6時から9時の間に行く
- 虫かごは網目のあるものを使用する
- 自宅から1番近い徒歩5分圏内の公園へ行く
2.部屋の環境を整える
- エアコンをつけておくなら28℃以上に設定
- セミの幼虫をお家に持ち帰ったらエアコンを切る
- 窓は網戸にする
- 部屋の照明は豆電球にする
3.カーテンにつけたら原則、触らない
4.場合によっては羽化の途中で手助けするのもあり
これらのポイントを抑えていれば、筆者のケースではありますが8回中8回成功させており、成功率は100%です。
セミの幼虫の羽化を観察してみたいとお考えの方は、ぜひこれらのポイントに気を付けて挑戦してみてください。
ではまた!
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